私の一冊 382号

『くまのパディントン』

私の一冊 378
  • 『くまのパディントン』ほか
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  • マイケル・ボンド 作/ペギー・フォートナム 画

  •      松岡享子 訳 (福音館書店)

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  •                         金子 玲子       

 子どもと一緒に本を読んでいた時の楽しい話はたくさんある。そのひとつが月刊「かがくのとも」(福音館書店)にまつわる思い出だ。お気に入りの号があって、花の写真に「甘い花の蜜」という言葉が添えられていた。わたしが「あまい はなの み」まで言うと、子どもたちが声を揃えて「つ」と言うのが、もう決まりのようになっていた。当時、次男はまだちゃんと喋れない年頃だったが、この「つ」は言えた。子どもたちは庭の日日草やサリビアをつまんで蜜を口にしたことがあるけれど、その味は本で感じたものと同じだったのだろうか。

 次はお父さんが協力してくれたこと。『ぐりとぐらのかいすいよく』で、ぐりとぐらが海から流れて来た手紙入りのビンを見つけるのだが、「ながれついたのは、とうもろこしの かわを おなかへ まいた びんでした。」子どもたちはビンはわかるが、コルクやとうもろこしの皮にピンとこない様子だった。しばらくして夫がどこからか皮つきのビンを調達してきた。それは絵本のビンにそっくりで、家族で「本物はこれかぁ」とじっくり観察した。(手紙は入ってなかったけど)

 そして『くまのパディントン』。パディントンはペルーからイギリスへやって来たくまだ。本の中で何度か「暗黒の地ぺルー」と彼が話す。「(エスカ)レーターがないんです、暗黒の地ペルーには。」などだ。たまたまある時、テレビでペルーのことが流れていたら、長男が「あぁ、あの暗黒の地ね。」とつぶやいた。ペルーが暗黒という言葉とセットになってしまっていて、何だかペルーに申し訳ない気持ちだった。

 子どもと本を読む時間は、わたしの方こそ十分に楽しませてもらった。何年たってもこうやって思い出して、ほんわかできるのだから。

                     

(特定非営利活動法人 熊本子どもの本の研究会会員/北海道余市郡 在住)