私の一冊 379号

『眠れる森の美女』

私の一冊 378
  • 『眠れる森の美女』
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  • シャルルベロー 作/ギュスターヴ・ドレ 挿絵/榊原晃三 訳   (出帆社) 
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  •                         橋元 俊樹        

 私の本棚には多分数千冊の本があると思うが(リビングの天井までの棚は二重、三重になっているので、背表紙も確認できない)童話に関する本は二冊しかない。そのうちの一冊がこの本である。自分で買った記憶があるから、多分、ドレの挿画を気に入って買ったものだと思われる。

 目次を見ると、『眠れる森の美女』に続いて、『赤ずきんちゃん』『親指太郎』『サンドリヨン』(あるいは小さなガラスの上靴)『猫の親方』(あるいは長靴をはいた猫)などが並んでいる。

 『眠れる森の美女』は普通の本だと、百年後に王子様が現れて、王女が目を覚ましめでたし、めでたしになるのだが、この本では、王子はお姫様のことを二年間も母親に隠し、子どもが二人も出来てからお城に連れて帰り、盛大な結婚式を挙げる。(何故隠したかと言えば、なにかしら母親が怖かったからだーあとで解るが、女王は人食鬼の一族だった)。

 父親が死に、王になった王子は隣国との戦争に出かける。すると人食鬼の女王(王子の母親)は二人の子供と王妃を料理して食べさせろと料理人に言いつける。料理人は子羊と子山羊と鹿の肉で女王をだますが、その後彼女は三人が生きているのに気付き、三人を蛇に食わせようとする。そこへ王様が帰ってきたので、毒蛇の入った桶に身を投げて死んでしまうーという話になっている。

 もう一つの特徴は、最後に「教訓」がついていること。このお話の教訓は「お金持ちで美男で親切でやさしいご主人を持つために、何年も待つのはごく当たり前のことですが、百年もの間眠りながらじっと静かに待っているなどという娘さんは何処にいるでしょう。」となっている。ついでに、『赤ずきんちゃん』の教訓は「(狼のなかには)大声もださず、じょうずにご機嫌をとりむすび、怒りもせず、なれなれしく甘い言葉をかけながら、若い娘さんがたのあとをつけ、家の中、寝室にまでもはいりこんで来るのもいます。こういう狼こそ、いちばん危険なやつなんですよ」

                     

(熊本県文化協会副会長)