私の一冊 339号

シャーロック・ホームズの生還‐新訳シャーロック・ホームズ全集

私の一冊 335号
  • 『シャーロック・ホームズの生還‐新訳シャーロック・ホームズ全集』 
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  • アーサー・コナン・ドイル 著/ 日暮雅通 訳 
  • (光文社文庫)
  •       石川 仙太郎         

 「私の一冊」、これまでの人生でものすごく本を読んだわけではないが、それなりに本を読んできた中で、改めて問われると難しいと、そんなことを考えながら子どもの頃からどんな本を読んできたかを振り返ってみて、シャーロック・ホームズシリーズに行き着きました。

 シャーロック・ホームズシリーズは、現代の推理小説のように複雑なトリックがあるわけではありませんが、わずかな手がかりから鮮やかに推理する手法、様々な知識を持っている上に、高い身体能力も備えているホームズの人物像に惹かれて、小学校高学年の頃にとてもはまり、図書館で次々に借りて読んだと記憶しています。また、ある程度まとまった文章量のある本を読みきるきっかけとなった本ではないかと思います。

 その中でも、『シャーロック・ホームズの生還』には、死亡したと思われていたホームズが三年ぶりにワトスンの元に現れ、以前と同様に事件を解決する「空き家の冒険」のほか、「踊る人形」や「六つのナポレオン像」など名作が収録されており、特に印象に残っています。

 こうして、思い出を振り返っていると、また、読みたくなってきます。新訳版のシリーズが出版されているようなので、買い直してみようか…そういえば、NHKで放映されていたグラナダテレビのテレビドラマも、毎回楽しみにしていました。

 熊本県教育委員会の調査によると、本を読まない子どもの割合は中学二年生から増え始め、中三から高三までは約三人に一人が「月に一冊も本を読まない」という状況になっています。自分の将来について少しずつ考え始めるこの時期に、本との出会いが少ないというのは本当にもったいないことですが、読書を習慣づけるためには、小さい頃から本や物語への親しみを持って、本と出会えるようになるための支援が大切だと思います。精力的に活動を続ける「熊本子どもの本の研究会」の活動に、ますます期待しています。

                                    

(熊本県教育庁社会教育課長)