私の一冊 324号

リコはおかあさん

324 私の一冊
  • 『リコはおかあさん』
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  •          間所ひさ子 著    (ポプラ社)
  •  
  • 金子 玲子
                                 

 我が家の子どもたちが夏休みの宿題と格闘している。今年は読書感想文ではなく、本の紹介カードを作成するらしい。自分なりの「帯」を考えたりして、これならなかなか楽しそうだ。

 さて、皆様の小学生時代はどんな本を読んでいたでしょうか。特に字が読めるようになった低学年の頃。私はあまり憶えていなかった。思い出そうと記憶の糸をたどっていったら、出てきたのが、『リコはおかあさん』だ。約四十年、口にも出さなかった本の題名がちゃんと出てきた。

 小学校の図書室は二階に上がり、体育館へ行く廊下の左側にあった。この本は入り口すぐ右側の一番下の段にあったはず。何度も借りたお気に入りの本だった。「リコはおかあさん」と唱えただけで、当時の図書室の風景が、ぱっとよみがえるようだ。しかし内容はおぼろげにしか憶えていない。たしかリコがお母さんの代わりをした様な。はっきりと憶えているのは「ネギをブツ切りのしたみそ汁」だ。長ネギが嫌いだった子どもの私は、同じ年頃のリコがネギを食べることに驚いたのだった。

 子ども時代の本を思い出す作業は、タイムスリップをしたような楽しさと忘れ物を見つけたようなうれしさを与えてくれた。子どもたちも大人になったら思い出す本があるのだろうか。

 図書館で検索したら北海道立図書館にあるとわかり、取り寄せてもらうことにした。昔の友だちに会う様でウキウキ。リコさん、コンピューターでつながれた世の中で会えますこと楽しみにしています。

 (後日)本と対面、出産で入院する母の代わりをする夏休みのお話。母がリコにつけてくれたブローチとお喋りするのは全く忘れていた。みそ汁の場面は、リコが弟に料理をしてあげる所。「ネギはピュンと中みをすってたべるのです」とある。

                  

(熊本子どもの本の研究会会員・北海道余市郡在住)